結婚後に氏を変更する場合
◇国際結婚に関しては 基本的には夫婦別姓方式が執られています。
日本人が外国人配偶者と結婚した場合、 本人が希望しない限り苗字は結婚前と同じ物が使われると言う事です。
◇日本式に結婚の届け出をする場合は、通常市区町村役場に婚姻届を提出する際に役場の人から、
「苗字はどうされますか」
というような事を聞かれると思いますので、配偶者と同じ名前を名乗りたい場合はその時に申し出ます。
婚姻届と同時に申し出た場合は特に面倒な手続きもなく、すんなりと氏が変更されます。
問題は、婚姻届を提出してから6ヶ月以上経過した後で変更したくなった場合です。
「初めは変えたくなかったけど、子供が産まれて変えたくなった」とか、
「外国で婚姻して、日本に届け出た時にはすでに6ヶ月が経過していた」
とか……理由は色々あると思いますが、 どんな事情であれ婚姻の日(役所に届け出た日、ではなく、婚姻した日)から6ヶ月が経ってしまうと、 もう市区町村役場では受け付けてもらえません。
婚姻の日より6ヶ月以上経過してからの氏の変更は、家庭裁判所へ申し出ます。
厄介、と書きましたが、実はそれほどたいしたことはありません。
家庭裁判所へ出向き、受付の係で申請用紙をもらって必要事項を記入し、収入印紙(2千円程度)と一緒に提出するだけです。
実はこの手続き、普通日本人が自分の名前を変更したいときにとるのと同じものです。
ですから申請用紙には「変更したい理由」を記入する欄があります。 通常の変更手続きの場合は、かなり詳しい理由をそこに書かなければならないわけですが、 国際結婚で夫、あるいは妻の氏に合わせて変更する場合は、すでにそういう項目が印刷されていますので(<--便利)、 そこにチェックを入れて、あとは詳細のところに、
「忙しくて変更できないまま6ヶ月が過ぎてしまいましたが、やはり家族揃って同じ氏にしたいので変更を希望します」
というようなことを書けば、大体の場合はOKです。
申請の際に揃えて行くのは、
★ 戸籍謄本
★ 住民票
★ 印鑑
……くらいでしょうか。
場合によっては婚姻届の写しを持ってこいなどといわれる場合もあるかもしれませんので、
出かける前に家裁に電話をして確認するといいでしょう。
申請して2,3週間すると、
「○月×日に●●家庭裁判所へ出頭する事」
というような召喚書類が郵送されてきますので、指定された日に出頭します。
なお、 裁判所といっても、法廷に立って裁判官の前で証言したりするわけではありませんので、
「裁判所からの呼び出し!」
……などと、構える必要は全くありません(誰も構えてないか(笑))。
実際には調停室のようなところで、「参与官」と呼ばれる係りの人に二、三事情を聞かれるだけです。 形式的には、
「参与官が面談により変更の可否を判断して裁判官に進言する」
という事になっているのですが、国際結婚による氏の変更は、一度目はほぼ無条件で許可されているようです。
首尾よく許可が下りると、参与官との面談から1,2週間でその旨通知する書類が郵送されてきます。
A4サイズのペラペラの紙に本籍・住所・申し立て人(本人)の名前・申し立てが認められたという事実が記載されただけの、
正直言ってあまりありがたみを感じない書類です(笑)。
判決が下りてそれで万事オッケーかというと、そんなことはありません。
こういうところが「厄介だ」と書いたゆえんなのですが、この書類が届いた日から更に2週間が滞りなく経過しなければ、
この判決が「確定した」とはみなされないのです。
許可された日から2週間すると、今度は『確定証明書』という新たなる書類が届くので、それが来て始めて、
「氏の変更が認められた」
ということになるわけです。
サテ。
「判決も出た、確定証明書も届いた。これでもういいだろう」
……と思ったあなたはまだ甘い。
裁判所がしてくれたのは、
「名前を変えてもいいよ」
という許可を出す事だけなのです。 つまり、この段階ではまだ許可が下りたというだけで、氏は全く変更されていないわけです。
実際の変更は市区町村役場でしなくてはなりません。
家裁から送られてきた「審判書類」と「確定証明書」を携えて役場へ出向き、戸籍の変更をして始めて、
めでたく「氏の変更完了!」と相成るわけです。
なんと長い道程でしょう。
更にもうひとつ、
「役所での手続きで公式書類上の名前は変更されるが、 プライベート面での変更はすべてマニュアル操作で行わなくてはならない」
……という事を付け加えておきます。
預貯金口座
生命保険
自動車保険
アパートの賃貸契約
クレジットカード
etc. etc.
ちょっと考えただけでもこんなに出てきてしまいました(笑)。 これ全部、ひとつひとつ自分で連絡を取って変更しなくてはいけないのです。どうです、厄介でしょう?
私の妻の場合、姓は変えていません。私も彼女の姓にするつもりはありません。それはそれでいいんじゃないでしょうか。
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